先日、友人と映画「レ・ミゼラブル」を見てきた。
有名な俳優が多数出ていたけれど、ミュージカルで
歌うシーンはどんな風に演じているのだろうと
興味津々だったが、評判通りの作品だった。
特に報われない愛と知りながら、彼の為に無償の愛を
捧げるエポニーヌのマリウスを思う歌は、涙を誘われた。
弟のガヴローシュは親の愛を知らず、ほとんど浮浪児の
ように生きてきたが、7月革命から6月暴動へと向かう中、
学生らの決起を起こさせる為に、自ら犠牲となった。
少年の歌も素晴らしかった。
妹の為にたった1つのパンを盗んだために19年もの間、
牢獄に繋がれていたジャン・バルジャンも、そしてそれを
生涯追い詰める事をやめなかったジャベールも共に
辛い運命を背負いながら、それぞれが自分の信念の為に
生きてきたといっても過言ではないだろう。
バルジャンは老司教の銀食器を盗むが、
司教の慈悲に触れ改心する。
バルジャンは神の導きによって信仰に導かれ、ジャベールも
正義という名の元に法律を重んじる二つの異なる生き方を
している。
バルジャンは愛する者を守り抜こうとするし、その為に自分を
犠牲にする。ジャベールもバルジャンに助けられた事により、
結局は、自分の信念に反して彼を見逃す事となる。
ジャベールは並べられた死体の中から、自ら犠牲となった少年の胸に勲章を置いてやる。本当の彼は、優しさも持ち合わせた人間だったのだろうと思う。
もしバルジャンと老司教とのような出会いがあれば、
ジャベールは自分の生き方を見失う事はなかっただろうと
思う。ジャベール役のラッセル・クロウの歌もプリミティブで
感情的であり、とてもよかった。
レ・ミゼラブルといえば、ファンテーヌ役のアン・ハサウェイの
「夢破れて」は彼女の繊細さと力強さの両方が感じられた。
人は誰かの力になりたいと思うものだ。そしてそれは時に
生きる原動力にもなる。私は病気をしてから、自分の生き方を
180度変えた。病気をした事によって、今の自分が存在する
のかもしれないとも思う。
誰かを思い遣る気持ち、誰かを守り愛する存在があると
いう事は、自分の魂を磨くという事なのかもしれない。
ジャン・バルジャンの一生は過酷だったと思うが、
決して孤独ではなかったのだろうと思う。
福岡で夏に、ミュージカル「レ・ミゼラブル」が来る。
久々に見に行きたいと思った。
|