樟脳と聞くと、祖母の箪笥に入れてある虫除けの臭いを
思い出しますが、天然の樟脳は、実はクスノキの生木から
作られているそうです。今では化学合成品の樟脳が出回り、
製造所はほとんど姿を消してしまったそうです。
福岡、みやま市の内野樟脳さんは、昔ながらの製法に
こだわり、今では全国で二ヶ所しかない製造所の一つとして、
天然樟脳を作り続けていらっしゃいます。先日アロマ関係の
友人と内野樟脳さんの工場を見学に伺いました。
樟脳の紀元は西暦600年頃アラビアにて最初に薬として
使われ、その後ギリシャ、エジプトで霊剤として使用されて
きたと言われております。原料はクスノキで、古くはマルコ・
ポーロの東方見聞録のスマトラ島の記述にも出てきます。
クスノキの原木を細かいチップにして、甑で蒸し、出てくる
蒸気を冷やして結晶化させ、搾って固める。
日本では樟脳の製法が伝わった400年前から、基本原理は
変わっていない「水蒸気蒸留法」の製法が内野樟脳さんでは
行われています。内野樟脳さんの工場の入口付近には、
たくさんの日本中から集められたクスノキの原木が置かれて
います。その匂いはまさに森林浴のようなリラックスする
安らぎの香でした。
クスノキが樟脳になるまでは、フォトギャラリーで紹介して
いますが、とても手間のかかる工程を踏んでいる事が
分かります。現在は内野和代さんが、亡くなった旦那さんの
技術を受け継いで、古くからの製法を守り続けていらっしゃいます。
幕末の頃、ヨーロッパの樟脳は100%が日本(薩摩製)の樟脳だったそうです。こうした日本古来の製法が、失われていくのはとても残念な事だと思います。内田樟脳さんの技術がずっと受け継がれていかれるようにと思います。
(写真の解説はちくちっく cictic .jp を、参考にさせていただいております。)
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